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天才ぴかりん・作
黄色いバター
(1)1998.02.08  (2)1998.06.13
―――――( 1 )―――――

 ある、あるところに、おばけがいたそうじゃ。
 おばけの国でまつっているのは バターなのだ。
 ある日。
 そのバターが、なくなったそうだ。
 長老のはなしによると、昼間にはあったらしい。
 「わしたちは 夜うごき回るから、ひるまはあまり家の外には出んからのう。」
 長老も なんでも知っていないらしい。
 なにしろ、おばけは小さいので1センチ。大きくて5センチ。
 長老は とくべつ7センチなんだな。
 「人間にばける。」というとくぎもあるんだなぁ。
 「そんなの、おばけだからあたりまえだ。」
 そんな事 思ってないか?
 ちがうんじゃ。
 化けられないおばけもいるんじゃ。
 でも、どうしてもばけたいやつは はるか西にあるおばけ町へ行って、
 その町の町長に 頭のよくなる魔法をかけてもらうらしいぞ。
 それでも できないやつはな、おばけ町よりももっと遠くの西の方に行くんだ。

 そうすると 大きい山があってその山のてっぺんにある薬をのむと、
 「カンタン、カンタン。」
 と言って、ばけられるようになるらしい。
 何回でも山の薬はのめるが、あんまりゴクゴク飲むとよってしまうらしいぞ。

 おばけめいたんていのリーダー、ミンピーは人間いがいなら
 なんでもばけられるのに、
 こんどの仕事は人間がいちばんやりやすいんだから
 しょうがない。
 「うおぉーし。やるぞぉー。」
 ミンピーは山の一番下にいるんだ。
 「やめた方がいいってばさぁー。」
 なかまが なにを言っても きかないんだ。
 ミンピーは いちど言ったことはぜったいやるんだ。
 「んじゃ、あとはよろしくぅー。」
 ミンピーは じゅうような事をしてくるようなかおつきで
 言ったんだ。

 ミンピーが山の中へ入って見えなくなると、
 「ミンピー、ぶじにいけるかなぁ?」
 ミンピーの友だち、ピグミーがしんぱいそうに言ったら
 「まあ、だいじょうぶさ。たぶんだけど。」
 ミンピーのもう一人の友だちピングーも言っていた。
 「でもでも、あたし しんぱいだなァ。」
 ピグミーはしんぱいと言うこと葉にずぶずぶうもれているんだ。
 「おバカ…・。」
 ピングーは 三人の中で一番頭がいい子で、たよりになるやつだ。
 そのころミンピーはというと………

 「ううううぅぅー。」
 道にまよっていた…。
 「えーっと、こっちからきたんだから、こっちがおく?かなあ?」
 ミンピーがまようのはあたりまえだった。
 なんと 今きた道を入れて五つも道があるんだからね。
 おばけだって、高くとべるわけじゃない。
 もちろん子どもだったら、もっととべない。
 おとなで30センチ。こどもで5センチとべる。
 いくらとべたって、山を外からのぼれない。
 だから 中のどうくつを通っていくのだ。
 「さあ!いっくぞぉー。っと、その前におひるね。」


 ミンピーは、昨日夜中十二時まで本をよんでて
 朝は山をのぼるじゅんびをしてあさごはんを作るために、
 めざまし時計十こで六時におきた。
 だから、ねむいんだ。

 「すぅーこぉー、すぅーこぉー。」
 ミンピーは 気持ちよさそうだよね。
 かいだんでねてるのはきもちいいのかな?

 一時間ねて、やっとおきた。
 「あ!いけない。はやくかいだんのぼろうっと。」

 ミンピーは いきなりかいだんをのぼりだしたんだあ!
 そりゃもう、すごいっていっていいほどすごいいきおいでね。
 ぐんぐんのぼっていって、一かいだったのが、もう三がい。
 山は一番てっぺんが六かいだ。
 「うおぉ。へえへえ。つっつかれたぁー!」
 ミンピーは、持ってきたそうけんびちゃを ゴクゴクのむと、
 どうくつのはしっこでちゃー。
 さて。それからまたのぼりはじめたんだ。
 こんどは、ゆっくり、ゆっくりね。

 はてさて、ピングーたちはというと……。
 ななな、なぁーんと!ひまだからと言って、ミニゲームなんかしてる?
 ミンピーもさびしい?友だちをもったねぇ。
 さっきのピグミーのしんぱいぶりはどこへ行ったんだか?
 「ゲーム、あきたねぇ……。」
 ピグミーがいうと
 「そうだなぁー。やっぱ、ミンピーがいないともりあがんないな。」
 ピングーはミンピーの話をもち出した。
 そう。ミンピーがいれば、今の百ばいもりあがるんだ。
 「ピングー、今ごろミンピーなんかいくらいにいるかなあ。」
 ピグミーが言った。
 「………。」
 ピングーは へんじをしなかった。
 「あたし、さんがいくらいだと思う。」
 ピグミーは とってもきどって言っていた。
 「おんどりゃぁーっ!」
 ミンピーは またつっぱしっていた。
 え?ゆっくりあるいてたはず?ああそれ。
 「ゆっくりあるくの、あきたぁー。」
 らしいぞ。
 あとすこしだ!もう、四かいだ…。
 「うわわわわわわー!」

  どかぁーんっ!
 あまりにもいきおいがすごすぎてミンピーはころんじゃったんだ。
 「いたたたたたあ。」
 ミンピーは おでこをぶつけたらしい。
 いたそうにおでこを 両手でおさえているんだよ。
 「なんでおでこをぶつけんだろ…いたたた。」
 ミンピーは ふしぎそうにおでこをなでたら
 「いたい。」
 ここ四かいで、二回目のきゅうけいになった。
 三十分間、きゅうけいするとまたまたはやくも 走りだした。
 ひまそうに走っていたら、いつのまにかてっぺんにいた。
 「ありり?ぼぉーっとしていたら、ついちゃった。」
 わらいながら 言っているとたからばこを、はやばやと、みつけてきた。」
 カチャリ。
 たからばこの中には ひときれの紙が入っていた。
 その紙には こう書いてあった。

 かす

 「なんだとぉー。」
 ミンピーは たからばこをけっとばしました。
 「キー!むかつくぅー!」
 ミンピーは さんざんあばれまくって、さいごに山からおちた。

 まったくたいへんだなあ。そして、バターゆうかい事件はというと……。

 いまだに むかいけつ……。だったりする。


―――――( 2 )―――――

 お山から落ちたミンピーは、あきらめて 人間いがいの動物になることにしました。
 「人間に近づきやすいのがいいわよ。」
 ピグミーが言ったら、今度はピングーが
 「でも、少しはなれてたほうが、いいよなぁ。」
 と、とてもらくちんに言った。
 「おやつですよぉ〜っ!」
 ミンピーのお母さんが おやつを持ってあらわれた。
 「さくせんは、もうたてたの?」
 ミンピーのお母さんがきいた。
 「もうちょっとなんだけどね。」
 ミンピーは言って、おやつのクッキーを一つ食べた。
 (人間に近づきやすい動物ねぇ〜。)
 この問題をかいけつするのは、ミンピーにまかせました。
 次の日…。
 「かんがえたぞぉぉぉぉぉ!」


 ミンピーがいきおいよくピングーの家にいったもんだから、
 ドアがいっきに、バアァァァァン、っと、こわれてしまいました。
 「あぁぁーりゃりゃ。まったまたぁ〜ん。」
 変な声で ピングーはいいました。
 ミンピーたちは、二階へ上がりました。
 すると、ピグミーがいて あきたような顔をしてふりむきました。
 「で?」
 ピグミーがミンピーにききました。
 「なにが「で?」なの?」
 今度は、ミンピーがピグミーにききました。
 「考えたんでしょう!人間に近づく方法!」
 ピグミーがどなりました。
 「ああ、あれか。えっとぉ…。ネコだよ!」
 ミンピーがすらりと言うと
 「えぇぇぇぇー!あの動物ぅー?」
 ピグミー&ピングーが同時に言いました。
 「でも、まあ、いっか。」
 「いいよね。すこしくらいねぇ。」
 「うんうん。バターのためならゆるすんじゃなぁい?」
 笑いながら、話している二人に ミンピーは
 「どうして?」
 と ききました。
 「長老は、ネコが、だぁいっきらいなんだよ。」
 「そうそう。だいっきらいなんだよなぁ。」

 「そうなの……。」
 じしんをなくしているミンピーに
 「まあまあ。」
 とやさしくピグミーが言ってくれました。
 「でも、ないしょでいっちゃえよ。」
 ピングーが言いました。
 「いいよね・・・べつに。」
 ミンピーはやるきをとりもどして
 「おおおおおおぉぉぉっ!」
 っときあいをいれていました。
 そして、
 「今から行ってきていいよね?」
 「ああ、う〜ん・・・いいんじゃない?」
 「じゃあ、いってくるね。」
 ミンピーはとぶと、消えました。
 「いってらっしゃぁぁぁい。」
 ピングーとピグミーに見送られて、行きました。
 そして、かってにひとんちのネコといれかわって、人間のかんさつしました。
 そのばん、にんげんを見ていたら 黄色い四角い形のものが冷蔵庫からでてきました。
 「ばたあだ!(バターだ!)」
 と、つい、さけんでしまいました。
 「あら?うちのネコ、なんか しゃべったかな〜?」
 と、人間が言いました。
 ミンピーは、ぷるぷる首をふりました。

 そのあと、にんげんが寝たときにミンピーは、
 バターをもって帰りました。
 夜が明けてあさです。
 ミンピーは、みんなから拍手してもらって、いいきぶんです。
 ミンピーはうれしそうに
 「ありがとうね〜♪」
 と言いました。
 最後に、一言言うと、もらってきちゃったのです。
 「まあ、いっか。」
 これがほんとのかいけつ。




 おわり。


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